福祉業界における新人職員の離職率は高水準が続いています。特に「3年以内離職」はどの法人も頭を悩ませる問題です。厚生労働省発表の「新規学卒者の離職状況(令和3年3月卒業)」によれば、高卒・大卒ともに医療・福祉業界は全業界のワースト5位以内に入っています。
新人の離職は単に人員不足を招くだけでなく、採用コストの損失や既存職員への負担増にも直結します。なぜ新人は定着できないのか、その背後にある福祉業界特有のリスクを整理してみましょう。
① 人間関係の負担
- 福祉現場はチームワークが生命線。
- 先輩・上司との関係づくりに失敗すると孤立感が強まりやすい。
- 対策:メンター制度、ピアサポート(同期のつながり強化)、1on1面談の仕組み化。
② 業務負担の過重さ
- 身体介助や夜勤など、身体的にも精神的にもハード。
- 加えて記録業務・研修・行事など「見えない業務負担」も多い。
- 対策:業務棚卸しによる負担の平準化、ICT・DXの導入で記録負担を軽減。
③ キャリアの不透明感
- 「この仕事を続けても将来どうなるのか」という不安。
- 資格取得や昇進の仕組みが見えづらい法人では、3年目前後で「次のキャリア」を探す傾向が強まる。
- 対策:キャリアパスの明示(等級制度や研修ロードマップ)、スキルアップ研修の計画的提供。
④ 福祉業界特有の心理的要因
- 「やりがい搾取」と呼ばれる構造──使命感が強調される一方で、報酬や処遇とのギャップが大きい。
- 対策:やりがいと処遇のバランスを意識した評価制度、感謝・称賛の仕組み化。
科学的な裏付け
- 厚労省の調査:福祉業界の3年以内離職率は他産業に比べ高止まり。
- 心理学モデル「Job Demands-Resources モデル」でも、**要求(業務負担)>資源(サポート・キャリア展望)**の状態が離職リスクを高めることが指摘されている。
実践ステップ
- 新人オンボーディング計画を作る
- 定期的に新人アンケート・面談を実施し、離職リスクを早期発見
- 職場全体で「新人を育てる文化」を形成
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