福祉法人DXと業務改善③「PDF化」で終わってない?

── DX視点で見直す“使えるマニュアル”の構造と設計

■ はじめに:「検索されないマニュアル」は、存在しないのと同じ

福祉法人でも「紙マニュアルをPDFにした」という事例は多く見られます。
ただ、PDFにしただけで「使われるようになる」わけではありません。

現場からは、こんな声が聞こえてきます:

  • 「そもそもどこにあるか分からない」
  • 「長すぎて探す気になれない」
  • 「内容は正しいけど、知りたいことが見つからない」

使われないマニュアル=機能していないマニュアル
DXの視点から、構造そのものを見直す必要があります。


■ DXで考える「マニュアル」の基本要件とは?

私たちは、マニュアルに必要な“3つの機能”をこう定義しています:

  1. 検索性:必要な情報に、すぐにアクセスできる
  2. 可読性:誰が読んでも理解できる構造
  3. 更新性:現場の変化に柔軟に対応できる設計

これらを満たさない限り、マニュアルは「情報の墓場」になってしまいます。


■ 検索性を高めるための設計ポイント

  • トップページに「目的別」「対象者別」「頻度別」などでナビゲートする
  • 各項目にキーワードやタグをつけ、検索ヒットを高める
  • PDFよりも、Notion・Googleサイトなど検索機能を持つ仕組みに置く

「構造」を変えることがDXであると理解すべきです。とくに福祉事業は、行政とのやり取りに関わる資料はDX化が極めて難しいと感じています。なぜなら、問題は貴法人ではなく国・各自治体側にあるためです。その変革を訴え続けていくことも必要ですが、自法人でコントロールができない部分は待つしかない面もあります。まずは、自法人内でできる範囲のDX化を進め、職員の負荷を少しずつでも下げていくことが重要だと思います。


■ 可読性を高めるための表現工夫

  • 「文字だらけ」にせず、フローチャート・イラスト・チェックリストなどで視覚化
  • 「やること(What)」と「理由(Why)」を並列で書く
  • 新人向け・経験者向けに章立てを分けると◎

→ テキストを“読みやすくすること”もDXの一部なのです。


■ 更新性を確保するための仕組みづくり

  • 編集可能な状態(例:クラウド管理)にしておく
  • “現場からの提案”を受け付けるフォームを用意
  • 「更新履歴」を明記し、誰が・いつ・何を変えたかを可視化

マニュアルが「成長する仕組み」を持つことが、DX化の真のゴール。


■ Live aliveでは「仕組みから見直す」マニュアルDX支援を実施中

  • Notion/Googleサイトでの設計・導入
  • トップ画面の情報設計
  • 職員へのレクチャー・導入研修
  • 継続的な運用ルールの策定

単に「PDFにする」では終わらない。
“使われる・育つマニュアル”を法人に合わせて設計・実装しています。


次回予告

次回は、**「更新されないマニュアル」に対して、どのように“アップデートの仕組み”を組み込んでいくか?**について掘り下げます。

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