── DX視点で見直す“使えるマニュアル”の構造と設計
■ はじめに:「検索されないマニュアル」は、存在しないのと同じ
福祉法人でも「紙マニュアルをPDFにした」という事例は多く見られます。
ただ、PDFにしただけで「使われるようになる」わけではありません。
現場からは、こんな声が聞こえてきます:
- 「そもそもどこにあるか分からない」
- 「長すぎて探す気になれない」
- 「内容は正しいけど、知りたいことが見つからない」
使われないマニュアル=機能していないマニュアル。
DXの視点から、構造そのものを見直す必要があります。
■ DXで考える「マニュアル」の基本要件とは?
私たちは、マニュアルに必要な“3つの機能”をこう定義しています:
- 検索性:必要な情報に、すぐにアクセスできる
- 可読性:誰が読んでも理解できる構造
- 更新性:現場の変化に柔軟に対応できる設計
これらを満たさない限り、マニュアルは「情報の墓場」になってしまいます。
■ 検索性を高めるための設計ポイント
- トップページに「目的別」「対象者別」「頻度別」などでナビゲートする
- 各項目にキーワードやタグをつけ、検索ヒットを高める
- PDFよりも、Notion・Googleサイトなど検索機能を持つ仕組みに置く
→ 「構造」を変えることがDXであると理解すべきです。とくに福祉事業は、行政とのやり取りに関わる資料はDX化が極めて難しいと感じています。なぜなら、問題は貴法人ではなく国・各自治体側にあるためです。その変革を訴え続けていくことも必要ですが、自法人でコントロールができない部分は待つしかない面もあります。まずは、自法人内でできる範囲のDX化を進め、職員の負荷を少しずつでも下げていくことが重要だと思います。
■ 可読性を高めるための表現工夫
- 「文字だらけ」にせず、フローチャート・イラスト・チェックリストなどで視覚化
- 「やること(What)」と「理由(Why)」を並列で書く
- 新人向け・経験者向けに章立てを分けると◎
→ テキストを“読みやすくすること”もDXの一部なのです。
■ 更新性を確保するための仕組みづくり
- 編集可能な状態(例:クラウド管理)にしておく
- “現場からの提案”を受け付けるフォームを用意
- 「更新履歴」を明記し、誰が・いつ・何を変えたかを可視化
→ マニュアルが「成長する仕組み」を持つことが、DX化の真のゴール。
■ Live aliveでは「仕組みから見直す」マニュアルDX支援を実施中
- Notion/Googleサイトでの設計・導入
- トップ画面の情報設計
- 職員へのレクチャー・導入研修
- 継続的な運用ルールの策定
単に「PDFにする」では終わらない。
“使われる・育つマニュアル”を法人に合わせて設計・実装しています。
次回予告
次回は、**「更新されないマニュアル」に対して、どのように“アップデートの仕組み”を組み込んでいくか?**について掘り下げます。
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