学び続ける組織(福祉法人)を創る⑥「学びの空気感染=制度より“空気”が学びをつくる」

――“文化としての学び”を育てる、経営の責任

このシリーズでは、以下のような視点から「学び続ける組織」について考えてきました:

  1. 「学べ」と言われても、仕組みがなければ続かない
  2. トップが学ぶ姿を見せることで、組織に学びが根づく
  3. 学びは“贅沢”ではなく、“変化の痛み”から生まれる
  4. 心理的安全性がなければ、学びは習慣にならない
  5. 新たな学びの前に、まずアンラーン(学びほぐし)が必要

そして今回の最終回では、これらすべてを支える土台――
**「学びが“文化”になるために、経営は何をすべきか?」**を整理します。


■ “制度”だけでは、学びは定着しない

多くの法人が研修制度を整え、eラーニングを導入し、評価項目にも「学び」や「成長」を組み込もうとしています。
これは素晴らしい取り組みです。

しかし一方で、現場からはこうした声も聞こえます:

  • 「研修に出ても、現場で共有されない」
  • 「上司がそもそも学んでいない」
  • 「忙しさに押し流されて終わる」

これはつまり、「制度があっても“空気”がない」状態です。


■ 学びを支える“空気”とは何か?

制度や仕組みが“枠組み”だとすれば、
空気(文化)はその中で息づく“日常の関係性”や“感情の流れ”です。

たとえば、こんなやりとりがあるかどうか。

  • 「この前の研修、どうだった?」と自然に声がかかる
  • 「やってみたけど、どうもうまくいかなくて」と失敗も共有される
  • 「いいね、それ真似させて」と称賛や模倣が飛び交う

これは制度ではなく、日々のふるまいと関係性によってつくられるもの。
そしてこの“空気”こそが、学びが根づくか否かを決める最大の要素なのです。


■ 経営が変えるべきは「問いかけ」と「姿勢」

学ぶ組織において、経営者の仕事は“指示すること”ではありません。
むしろ、問い続けることです。

  • 「最近、何にモヤモヤしていますか?」
  • 「これは現場の声をどう反映させていますか?」
  • 「自分たちのやり方は、本当に最善ですか?」

こうした問いを自ら投げ、
同時に、自分自身が学ぶ姿勢を見せることが文化を変えるスタートです。


■ 「学びたくなる風景」をつくる

結局、学びは“空気感染”します。

  • ベテランが若手に教えを乞う
  • 経営者が勉強会の輪の中にいる
  • 管理職が「私、これわかってなくて」と言う

そんな風景が、職員にとっての「普通」になることが、
どんな制度よりも強く、学びを文化にしていきます。


■ 学ぶ組織とは、「学ぶことが気まずくない組織」

私たちが目指すべきなのは、「学ぶ人を評価する組織」ではありません。
そうではなく、

「学ぶことが当たり前であり、むしろ“学ばない”ことの方が不自然に感じられる」

という組織風土です。

それは、制度ではなく人と人との関係性からしか生まれません。


■ 経営に問いたい:

あなた自身は、最近、何を学びましたか?

これはきっと、現場の職員に「学びましょう」と言うよりも、ずっと強いメッセージになります。


✒️Live alive株式会社では、

制度設計から文化づくりまで、学びが根づく法人運営を一緒に考えています。

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