支配ではなく「伴走」へ
「本部をつくる」と聞くと、多くの現場職員は身構えます。
「管理が厳しくなるのでは」「現場の自由がなくなるのでは」と感じるからです。
しかし、これからの福祉法人に必要なのは、“支配する本部”ではなく、“支える本部”。
現場を監視するのではなく、現場が自ら動けるように整える「伴走型マネジメント」こそが、本部の進化系です。
支援する本部に必要な3つの姿勢
現場を支える本部は、仕組みだけでは成立しません。
大切なのは、“どう関わるか”という姿勢です。
- 教えるのではなく、引き出す
現場が何に困っているのか、まずは聴く。
課題を代わりに解くのではなく、一緒に整理する。 - ルールで縛るのではなく、原則を共有する
現場判断が多い福祉の仕事では、マニュアルより「原則の理解」が重要です。
本部はルールを押し付けるのではなく、判断の軸を共につくる立場に立つ。 - 評価ではなく、支援を優先する
「報告が遅い」「提出が不十分」と指摘するだけでは改善しません。
本部は“現場の伴走者”として、困りごとを一緒にほどいていく姿勢が求められます。
現場を動かす“信頼の回路”
本部と現場の関係が悪化する典型的なパターンは、
「本部が指示を出し、現場が従う」構図に陥ることです。
信頼関係がないまま報告書や会議が積み上がると、形式的な運営に変わっていきます。
伴走型マネジメントの第一歩は、**「相互理解の時間を設ける」**ことです。
- 定例報告会ではなく、対話型のミーティングを設ける
- 現場に同行し、職員の“目線”で課題を見聞きする
- 「良かった事例」を共有し、称賛を文化にする
こうした小さな信頼の積み重ねが、本部の存在意義を変えていきます。
本部職員の育成──「事務局」から「経営支援部門」へ
本部に必要なのは、「指示ができる人」ではなく、「支援ができる人」です。
そのために求められるのは、次のようなスキルです。
| スキル領域 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 分析・整理力 | 各施設の課題を構造的に整理し、報告書ではなく“次の一手”を示す力 |
| コミュニケーション力 | 現場と信頼関係を築き、対話で課題を引き出す力 |
| システム理解・DX知識 | 各種ツール(勤怠・人事・会計・マニュアル管理)を活用し、仕組みで支える力 |
本部がこうしたスキルを持つことで、現場にとっての“頼れる相談先”になります。
「支援の本部」は法人の文化を変える
現場が自律的に動ける法人には、必ず「支援の本部」が存在します。
それは決して大きな組織ではなく、少数でも“方向を整える人”がいる法人です。
経営者は現場を守りながら、同時に現場を“整える”役割を持たなければなりません。
そのために、本部は現場の敵ではなく、伴走する味方であり続ける必要があります。
Live aliveは、こうした“伴走型本部”を法人の中につくるお手伝いをしています。
仕組みを整えるだけでなく、人と人との信頼関係を再設計する──
それが、私たちが支援する「本部構築」の本質です。
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