経営の孤独は、意思決定を鈍らせる
福祉法人の理事長や経営幹部と話していると、よく聞く言葉があります。
「同じ目線で話せる人がいない」
この“孤立”は、経営者自身が作り出しているものでもあります。
経営の判断を誤らないためには、「内輪ではない“外の壁打ち」が必要です。
そしてその壁打ちは、「雇用」ではなく「関係性の設計」で実現できます。
経営者が孤立する3つの構造的理由
- 組織内に「対話相手」がいない
現場職員には経営判断の背景が伝わりにくく、幹部職員には相談しづらい。 - 理事会が“チェック機関”になっている
経営判断を深める場ではなく、報告・承認の場に留まっている。 - 外部の関係が“取引”に偏っている
税理士・社労士・行政書士などは重要だが、どうしても「守りの専門家」になりやすい。
結果として、経営者は“守る孤立”の中で意思決定を行うことになります。
「外の壁打ち」を仕組みにする
壁打ちとは、経営者の思考を言葉にし、整理し、返してくれる存在のこと。
重要なのは、“コンサルを雇う”ことではなく、壁打ちの関係を法人文化として持つことです。
たとえば:
- 月1回、経営相談ではなく“経営対話”の時間を設定する
- 外部ファシリテーターを交えた「幹部合宿」スタイルのディスカッション
- 「課題整理だけを行うミーティング」を定例化する
Live aliveの支援先でも、こうした外部壁打ちの導入により、理事長の思考が加速し、法人の意思決定スピードが劇的に変わっています。
採用せずに優秀人材を取り込む方法
壁打ち文化は、採用の代替でもあります。
紀三福祉会や吉野福祉会、善用堂のように、Live aliveが伴走している法人では、
もしフルタイム雇用で同じスキルを得ようとすれば年収800~1000万円級の人材が必要になるでしょう。
しかし、実際はその20~30%程度のコストで、経営機能を“拡張”しています。
つまり、「外の壁打ちを制度として取り入れる」ことは、
- 高コストな管理職を雇わずに
- 思考力と経営視点を法人に注入する
- 経営者の孤立を防ぐ
という、極めてコスパの高い人材戦略でもあるのです。
壁打ちは「関係性の経営」
外部の人材を“外”として扱うのではなく、経営チームの一員として迎え入れること。
それは雇用契約ではなく、「信頼契約」です。
この関係性が育つと、法人の文化は次のように変わります。
- 経営課題を“人”でなく“構造”として語れる
- 失敗や課題を早い段階で共有できる
- 「誰かが支えてくれている」という心理的安定が生まれる
経営者が孤立しない組織は、職員も孤立しません。
“壁打ち文化”は、組織全体に波及する信頼の仕組みなのです。
最後に:孤立は才能の浪費である
経営者が孤立することは、法人にとっての最大のリスクです。
経営者の頭脳が止まると、法人の未来も止まります。
Live aliveは、福祉法人の「外部本部」「壁打ち相手」として、
思考を磨き、組織を動かす関係性をデザインしています。
孤立しない経営。それが、次の世代に法人を残すための最初の一歩です。
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