──憧れがない。“ああなりたい”と思える人がいない
弊社がお伺いする多くの事業所で、「管理職になりたいですか?」と聞くと、「いや、別になりたくないです」と言われる。給与や役職(つまりインセンティブ要素)の話をしても、反応は薄い。
それもそのはず。
“あの人みたいになりたい”と思える管理職(ロールモデル)が、そもそも身近にいないからです。
「憧れの上司」がいない職場
ある若手職員がこう言っていました。
「うちの管理職、みんな辛そうじゃないですか?いつもバタバタしてて、笑ってる姿あまり見ないし…」
「施設長や主任はすごいと思うけど、ああいう人たちのように私はなれない。あんな風に全部抱え込むの、正直ムリだなって」
“尊敬はしているけど、目指せる気がしない”──この温度感が意外と多いのです。
ロールモデルが“遠すぎる存在”になってしまうと、
「なりたい」ではなく「自分とは違う世界の人」になってしまう。
「管理職=板挟み」のイメージ
多くの法人で見られるのが、「管理職=しんどそう」という印象。
・本部(経営層)からは数字や制度を求められ
・下から現場の不満を受け止め
・中間で板挟みにされる
そんな姿を日々見ていたら、「自分もいずれ…」とは思えません。
ロールモデルの硬直化
さらに、福祉業界では管理職像が固まってしまっていることも多い。
「叱る」「ルールで縛る」「一方的に指示する」──
昭和型の上司像のままでは、若手の価値観には響きません。
本当に憧れられる管理職とは、どんな人でしょうか?
背中を見せる機会が減っている
かつては「先輩の背中を見て育て」と言われた時代がありました。
でも今は、忙しさや効率重視の風潮のなかで、非言語の育成機会が激減しています。
気づけば、上司と部下がほとんど関わらないまま1日が終わることも。
「この人のもとで働きたい」と思う機会自体が減っているのです。
解決のヒント:「語る場」をつくる
ロールモデルは、制度ではなく日々の関わりから育ちます。
まずは、管理職自身が「自分の言葉」で語る場をつくること。
「管理職とは何か」を上から定義するのではなく、
「私はこうありたい」「こういうことで悩んでるけど、やりがいもある」と
“等身大の想い”を語るだけで、部下には届きます。
「憧れさせよう」とする必要はありません。
ただ、自分の言葉で語ることが、誰かの未来のきっかけになる。
おわりに
人は、「なりたい姿」があると、そこに向かって努力できます。
逆に、イメージできない未来には踏み出せません。
管理職というポジションを、役職や数字の話だけで語っても、人はついてきません。
「あの人のように、自分もなりたい」と思えるかどうか。
それが、次の管理職を生む第一歩になります。
次回は管理職に興味を持つ職員を増やすための施策をモデリングという観点で説明していきます。
これまでの、「福祉職員が管理職になりたがらない理由」のブログは以下です。
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