仕組みは“できた”では終わらない
人事制度、評価表、マニュアル、DX──
どんなに優れた仕組みを導入しても、「使われていない」「効果が見えない」という法人は少なくありません。というより、それがほとんどだと思っています。
福祉法人の経営において本部構築は、「整える」ことではなく「定着させる」ことが目的です。弊社のご支援も、運用・更新から「仕事」だと思ってご支援しています。
だからこそ必要なのが、成果を測るKPI/KGI設計です。
これを設定しなければ、「改革の手応え」が曖昧なまま時間だけが過ぎてしまいます。
本部構築のKGI──最終的に目指す成果
まずは、本部構築の最終目標(KGI)を明確にします。
本部の目的は“経営効率化”ではなく、“現場と経営が両立する組織”をつくること。
その観点で、次のようなKGIが考えられます。
| 分野 | KGI(最終成果) |
|---|---|
| 人材 | 離職率●%改善/平均勤続年数の上昇 |
| 経営 | 人件費率の安定化/法人全体収支の黒字維持 |
| 業務効率 | 管理業務時間の削減(例:報告書作成時間30%減) |
| ガバナンス | 監査指摘ゼロ/書類整備の標準化完了 |
これらは、単なる数値ではなく「法人全体の安定性」を測る指標として機能します。
本部構築のKPI──日常で追う中間指標
KGIはゴール、KPIはその過程を測るものです。
たとえば、次のようなKPIが有効です。
| 領域 | KPI(中間指標) |
|---|---|
| 人材マネジメント | 評価面談の実施率/1on1回数/職員アンケート満足度 |
| DX運用 | クラウドツールの更新率/マニュアル改訂件数 |
| コミュニケーション | 会議出席率/情報共有の閲覧数/提案件数 |
| 採用・広報 | 応募数/採用リードタイム/法人SNSの反応数 |
KPIの目的は、「改善を習慣化する文化」を定着させること。
点検ではなく、日常的な“温度チェック”として使うのがポイントです。
「数字」だけでなく「物語」で測る
本部の成果は、数字だけでは見えない部分があります。
大切なのは、現場から上がってくる“変化の物語”を捉えることです。
- 「報告書が揃うようになった」
- 「職員から“助かった”という声が出た」
- 「施設間で情報共有が生まれた」
こうしたエピソードは定量化できなくても、文化の定着度を示す重要なサインです。
数字と物語、両方で見ることが、福祉法人における評価の本質です。
改革を“測る文化”をつくる
本部構築が成功する法人ほど、「計測する仕組み」を日常に組み込んでいます。
たとえば:
- 定例会で毎月KPIを確認
- 現場ヒアリングの中に定性的評価を組み込む
- 成果を法人内で共有し、表彰や称賛につなげる
これは単なる管理ではなく、学び続ける組織の文化です。
本部構築は終わりではなく、文化を育てる始まり。
数字の裏にあるストーリーを拾える法人こそ、持続的に成長していきます。
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